いまだその終焉がみえない新型コロナウィルス感染症の拡大は残念ながら終焉の目処が立っていません。
感染症そのものからの被害もさることながら政策に関しても決定的な打開策が打ち出されない現状には多くの小規模事業者が苦しめられています。
そのような小規模事業者が事業の継続のために利用できる可能性があるのが小規模事業者持続化補助金です。
しかし審査によって補助金が交付されない場合がありその採択率は3割〜5割ほどともいわれています。
この記事では採択率を上げるために知っておきたい基本と申請書の書き方についてわかりやすくまとめていきます。
1.採択されるために知っておきたい小規模事業者持続化補助金の申請書の書き方とは
以下からは小規模事業者持続化補助金における具体的な申請書の書き方・提出書類などについて解説していきましょう。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは小規模事業者が行う販路の開拓や生産性の向上の対策に必要な経費の一部を支援する制度のことです。
商工会もしくは商工会議所から協力を受けながら経営計画書・補助事業計画書を作り審査を受けて採択が決まったあとに所定の補助を受けられるという仕組みになっています。
小規模事業者持続化補助金の提出書類
単独申請の場合
- 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書
- 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式3-1 補助事業計画書②【経費明細表・資金調達方法】
- 様式4 事業支援計画書(商工会議所が作成)
- 様式5 小規模事業者持続化補助金交付申請書
- 電子媒体(CD―R・USBメモリ)
電子媒体には必要事項を記入した以下のデータを、すべて入れることが必要になります。
- 申請書(様式1-1)
- 経営計画書兼補助事業計画書①(様式2-1)
- 補助事業計画書②(様式3-1)
- 交付申請書(様式5)
電子データは押印前のものでかまいません。
また様式ごとにファイルをわけます。
たとえば以下のように、それぞれ名前をつけて保存しましょう。
- 様式1-1
- 様式2-1
- 様式3-1
- 様式5
電子媒体に保存したデータをもとに採択審査を行います。
電子媒体の送付がない場合は採択審査ができないので忘れないようにしましょう。
共同申請の場合
- 様式1-2 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書様式および
別紙1-2 複数事業者による共同申請/共同申請者一覧 - 様式2-2 経営計画書
- 様式3-2 補助事業計画書
- 様式4 事業支援計画書(商工会議所が作成)
- 様式5 小規模事業者持続化補助金交付申請書
- 電子媒体(CD―R・USBメモリ)
電子媒体には必要事項を記入した、以下のデータをすべて入れることが必要になります。
- 申請書(様式1-2)および別紙「複数事業者による共同申請/共同申請者一覧」
- 経営計画書(様式2-2)
- 補助事業計画書(様式3-2)
- 交付申請書(様式5)
電子データは押印前のものでかまいません。
また様式ごとにファイルをわけます。
たとえば以下のようにそれぞれ名前をつけて保存します。
- 様式1-2および別紙
- (株)○○の様式2-2
- (株)△△の様式2-2
- 様式3-2
- 様式5
※経営計画書(様式2-2)は、各社ごとの電子データをすべて入れてください。
電子媒体に保存したデータをもとに採択審査を行います。
電子媒体の送付がない場合は、採択審査ができないので忘れないようにしましょう。
法人の場合
⑦ 貸借対照表および損益計算書(直近1期分):写し1部
損益計算書がない場合は、確定申告書(表紙(受付印のある用紙)および別表4(所得の簡易計算))を提出してください。
決算期を一度も迎えていない場合は不要です。
共同申請の場合には、各社の貸借対照表等を提出してください。
株主名簿:写し1部
P.11確認事項(共同申請の場合はP.18)に出資者の名称、出資比率を記載されていない場合、株主名簿をご提出ください。
個人事業主の場合
⑦ 直近の確定申告書
第一表、第二表、収支内訳書(1・2面)または所得税青色申告決算書(1~4面)(税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)※収支内訳書がない場合は貸借対照表および損益計算書(直近1期分)を作成し提出します。・・・写し1部。
決算期を一度も迎えていない場合のみ申請時の段階で開業していることがわかる開業届を提出してください。
開業してから決算期を1回以上迎えている場合には所得額に関わらず確定申告書を提出しましょう。
確定申告書を書面提出した方で表紙に受付印がない場合には税務署が発行する「納税証明書(その2:所得金額の証明書)」(コピー不可)を追加で提出してください。
電子申告をする方は「メール詳細(受信通知)」を印刷したものを受付印の代用として添付しましょう。
共同申請の場合には各社の申告書を提出してください。
特定非営利活動法人の場合
⑦ 貸借対照表および活動報告書(直近1期分)
⑧ 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
⑨ 法人税確定申告書(表紙(受付印のある用紙)および別表4(所得の簡易計算))(直近1期分)・・・それぞれ写し1部。
決算期を一度も迎えていない場合のみ⑦⑨に代えて「公益法人等収益事業開始申告書」の写しを提出してください。
開業してから決算期を1回以上迎えている場合には法人税確定申告書(受付印有り)を提出しましょう。
確定申告書を書面提出した方で表紙に受付印がない場合には税務署が発行する「納税証明書(その2:所得金額の証明書)」(コピー不可)を追加で提出してください。
電子申告をした方は、「メール詳細(受信通知)」を印刷したものを、受付印の代用として添付しましょう。
「⑧現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書」は、申請書の提出日から3か月以内の日付のもの(原本)が必要です。
収益事業を行っていても、免税されていて確定申告書の提出ができない場合は応募できません。
2.「経営計画・補助事業計画」の書き方のポイント
小規模事業者持続化補助金の申請の際に多くの事業者の方がとくにつまずくのが申請書の「様式2-1」の「経営計画」と「補助事業計画」の書き方のようです。
日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金」のHPには「様式記載例(PDF)」が掲載されてはいますが補助金の申請に慣れていない方にはとくに難しく思えるかもしれません。
以下からは「経営計画・補助事業計画」の書き方のポイントと経営計画書と補助計画書の項目について説明していきます。
要点を押さえて書くこと
記載するべき要素のポイントと要点をふまえ、各項目に記載していきましょう。
箇条書きにするとよい
文章にして書くのはかまいませんがポイントにあわせて箇条書きにする方が書きやすいことでしょう。
みる側にとっても全体を把握しやすいので箇条書きがおすすめです。
文章数の制限はない
「補助事業で行う事業名(30文字以内)には文章量の制限がありますがそれ以外の項目にはありません。
箇条書きで思いつくままに書き出し後から削除したりまとめたりすると作成しやすいことでしょう。
フォントの変更や図・写真を入れてみやすくする
必要に応じてフォントの大きさを変えたり枠で囲んだり図や写真などを入れるなどの工夫をしみやすい書類づくりを心がけます。
審査の加点対象項目などは目立つようにしましょう。
商工会議所・商工会のアドバイスを受けること
持続化補助金の申請窓口は商工会議所・商工会です。
一度自分でわかる範囲内で記入し近くの商工会議所・商工会に相談するようにします。
商工会議所・商工会の会員でなくても持続化補助金の申請・相談は可能です。
商工会議所・商工会では、申請書の内容や形式の確認をします。
書きなおしや資料の準備に時間が要する場合があるので早めの相談が必要です。
3.「経営計画」の項目
以下からは経営計画における項目について一つひとつを解説していきましょう。
企業概要
概要・沿革・・・設立年・基本理念・代表者の経歴・後継者がいる場合はその方の経歴についても記載します。
基本情報・・・営業時間や雇用者数・店舗住所などについて記載します。
商品構成・・・売上・商品・サービスについて記載します。
利益構成・・・商工会議所の様式記載例では売上総額の大きい商品と利益総額の大きい商品を図表にしてわかりやすく示しています。
顧客ニーズと市場の動向
顧客ニーズ・・・顧客(消費者・取引先)が求めている商品・サービスはなにかについて記載します。
市場の動向・・・競合する他社の存在や顧客の増減など今後の市場環境の見とおしを記載します。一般的な市場調査のデータについては地域経済分析システム(RESAS)を参考にすることをおすすめします。
自社や自社の提供する商品・サービスの強み
自社の強み・・・商品・サービスが他社に比べて優れている点、特化している点を記載します。
顧客の評価・・・顧客に評価されている点を記載します。顧客の声・アンケートの結果・新聞や雑誌やテレビなどの媒体で取り上げられた経験などがあれば記載するとよいでしょう。
経営方針・目標と今後のプラン
経営方針・・・上記の1~3を踏まえた今後の経営方針を記載します。
顧客の方針・・・「〇〇年までに来店客数〇%増、客単価○○円」のように、具体的な数字目標を記載します。顧客、取引先から「このような会社だと評価されたい」などの目標を記載します。
4.補助事業計画の項目
以下からは補助事業計画の項目において、記入すべき事柄について解説していきましょう。
補助事業で行う事業名
○○の開発・販路の開拓のような事業名を、30文字以内で記入します。
開拓等(生産性向上)の取組内容
事業概要:ホームページを活用し自社の強みやこだわりなどを発信する、顧客のニーズにあわせた商品を開発するなど、販路開拓や生産性向上のために行う事業を具体的に記載します。
これまでの取り組みとの違い:今回の補助事業がこれまでに行ってきた、自社の取り組みと異なる部分を記載します。さらに競合他社の同様の取り組みと、差別化できている部分についても記載します。
創意工夫した点・特徴:今回の取り組みに関して工夫した点について記載します。
事業の具体的な進め方:だれがどういった方法で事業を進めるかについて記載します。
業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】
業務効率化をすることにより、従業員の労働環境が改善するなどの取り組みがあれば記入しましょう。
補助事業の効果
売上等への効果・・・事業を実施することにより、顧客の数・売上・利益率などがどう増加するかの見とおしを記入します。
取引先への波及効果・・・事業により、取引先にどのような効果(波及効果)があるかを記載します。
地域社会への波及効果・・・事業により、地域にどのような効果(波及効果)があるかを記載します。
5.まとめ
今回は小規模事業者持続化補助金の申請書の書き方について詳しくまとめました。
書類の数が多く記載する内容が多いためにハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし小規模事業者持続化補助金の申請書は審査によって補助金が出ない場合もあるため、各項目をきちんと記載する必要があります。
一つひとつ例などを確認し、商工会議所や商工会のアドバイスも参考にしながら書類を作成していくことで完成させられることでしょう。
新型コロナ感染症の拡大はいまだ終焉の見通しが立たず、小規模事業者にとって困難な状況は今後も続くことが見込まれます。
この記事を参考にし小規模事業者持続化補助金を利用して、事業の継続を実現していきましょう。