「IT導入補助金って何?」「個人事業主だけどどうすればもらえるの?」などと気になっていませんか。
IT系中小企業の事業者のためになる補助金制度があるので積極的に活用すると得です。
便利なデジタルツールを導入するには相応の経費がかかります。
今回は起業や運転資金などのコストを浮かせたい小規模事業者のために国からの補助金の申請方法をまとめました。
この記事を参考にすれば業務上のお金のサポートを受ける方法がわかるでしょう。
1.IT導入補助金の基礎知識を紹介
まずはIT導入補助金についてベーシックな意味をまとめてみました。
これは小さな規模の事業者をお金で補助する制度の一種です。
実際に交付申請するための準備や手順もまとめたのでぜひチェックしてください。
IT導入補助金とは何か?
ITシステムを取り入れた中小企業・小規模事業者のための補助金制度があります。
自分の会社が提供するサービスに合ったツールを仕入れることで経費をサポートしてもらえるのです。
補助金の公式サイトでは活用例を紹介しています。
たとえば「協和テクノロジィズ株式会社」がRPAを取り入れたケースを挙げています。
「ロボティックプロセスオートメーション」という意味で人間が行うテクニカルな業務をAIや機械学習の成果として自動で行えるシステムです。
RPAを使った業務プロセスを定着させたことで協和は残業時間を月に約25時間削れました。
介護業である「有限会社青空」の例も見逃せません。
訪問介護支援システム「Care-wing 介護の翼」は、ICタグで勤怠管理や事務処理ができるので生産性のアップにつながります。
Care-wing採用により青空は事務作業に取られる時間の節約に成功し、介護サービスの充実などの成果を生みました。
日本の現代社会では「働き方改革」として業務の効率化や残業時間の削減などを求める動きが高まっています。
しかし企業体質が変わらないことから、うまくいかないケースも多いでしょう。
その中でIT補助金を利用し、新しいツールを取り入れる動きは、企業の機運を変えるきっかけとして有用です。
今後もさまざまなIT化による業務改善やサービスのレベルアップを望めるでしょう。
補助金のおかげで経営負担が減ると、さまざまなメリットが考えられます。
業務がスムーズに進み、生産性がアップすれば、経営者も従業員も仕事が楽しくなるかもしれません。
国は中小IT企業をターゲットにしながら、補助金でやりがいを刺激しより良い社会を築く狙いがあるようです。
補助金を受けながらのITシステム導入で経費支出抑制を望めます。
低コストのIT導入で業務もはかどるでしょう。
IT導入補助金交付申請前の準備
IT導入補助金を交付申請するための準備は3段階あります。
まずはホームぺージや公募内容を確かめ、次に導入予定のITツールのチェックを行いましょう。
最後に導入を助けてもらう事業者とのコミュニケーションも重要です。
最初はホームページや公募内容から、支援内容に目を通しましょう。
いきなり応募しようとしても、やり方がわからないうえ、自身の事業内容が補助金制度に合わないおそれもあります。
公式サイトにある「IT導入補助金公募要領」はボリュームが多いといえます。
しかし時間をかけてでも目を通し、補助金制度の内容を理解しましょう。
交付対象にはITツールを導入する中小・小規模事業者、生産性が上がる事業計画などさまざまな条件があります。
応募条件に限らずIT導入補助金の内容を知っておくことは大切です。
次は導入予定ツールの補助金制度への合致確認です。
ツールのタイプには主に3類型があります。
1つ目は「ツール先行型」です。
会社の生産効率や社員のやりがいなど、課題を解決するためにツールを入れることになります。
今から起業を目指す人は事業計画が固まる前から導入したいITツールが思い浮かんでいるかもしれません。
業務改善ツールや、リモートシステムを使った非接触型サービス用のシステムなどITの道具も多数世に出ているので、そうしたものを使って人の役に立ちたい起業者も多いでしょう。
以上の意味でもツール先行型はやりたいことの一部をはっきりするスタンスに合っています。
2つ目は「課題先行型」です。
1つ目と違い、問題はわかっているけどどんなITツールを入れたらいいかわからない状況を示します。
たとえばインターネットで企業の宣伝をしたりサービスの宣伝をしたりすると毎日の更新作業が重要です。
更新がなければ見る人を引きつけられません。大衆は常に新しい情報に関心を持っているからです。
しかし毎日の更新に時間をとられて他のサービスがうまくできなかったり精神的に疲れてしまう事業者もいるでしょう。
そうした悩みがありながら何を取り入れたら解決するかわからない人は課題先行型といえます。
導入支援事業者との相談で解決につながるツールを決め補助金申請に向けて動きましょう。
3つ目は「補助金先行型」です。
具体的な課題やツールはわかっていないが、とりあえず経費削減のために使ってみようという考えです。
「これからITを使った仕事をしたくて補助金の存在を知っているのて低コストで起業をしたい」という考えは補助金先行型といえます。
しかし計画があいまいだと審査に通りません。
交付を受けても使い方がわからないリスクもあるので3つ目はおすすめできないでしょう。
課題かツール、どちらかが先行した状態で申請を考えるのが賢明です。
最後に導入を助けてもらう事業者を決めてください。目当てのツールがわかったら担当事業者を探し、自身の企業に対する必要性をアピールしましょう。
補助金公式サイトに「IT導入支援事業者・ITツール検索」があり、適切な提携先がわかります。
見積もりや商談がまとめるのが重要ですが、この時点ではまだ導入契約は結ばないでください。
交付決定前の事業者との契約があった場合補助金をもらえないからです。
このようにIT導入補助金を受けるには慎重な準備が求められます。
2.交付申請手続きの方法
交付手続きの手順を紹介します。
最初にGビズIDプライムが必要です。
次は申請マイページから必要書類を出しましょう。
交付決定を受けるためのコツも覚えると得です。
▼gBizID公式サイトはこちら
https://gbiz-id.go.jp/top/
GビズID公式サイトで専用IDを申請できます。
IT導入補助金は行政サービスなので、こちらのアカウントがあればログインが簡単です。
事業形態を「個人事業主」とし必要事項を入力してください。
登録した携帯電話番号にSMSが届き、入手したワンタイムパスワードを所定欄に入れる場面もあります。
利用規約への同意にチェックを入れたら申請書作成ボタンを押してください。
申請書をダウンロードしたら必要事項を記入し印鑑登録証明書の実印を押しましょう。
申請書とその最後のページであるチェックシート・印鑑証明書の3点を経済産業省のGビズID運用センター宛へ郵送してください。
2週間以内に返信メールが届くのでURLのリンク先にワンタイムパスコードを入れましょう。
アカウント用のパスワードを入力すればGビズID取得です。
正式な申請書の提出はIT導入支援事業者の協力が必要です。
補助金公式サイトである「申請マイページ」にアクセスしユーザー情報をはじめ必要事項を入力してください。
経営診断ツールの結果にあるID「SECURITY ACTION」のアカウントID事業計画も必要です。
入力情報はIT導入支援事業者へ送ります。
支援側でも必要事項の入力があるので申請者が届いた内容を承認しましょう。
正式申請は支援側が代理で行います。
交付決定通知は申請締切から翌月の最終営業日です。
交付決定を受けるポイントは支援事業者からの丁寧なアドバイスです。
正確に受けられるように、支援実績のある業者へ依頼しましょう。
起業したての人は、制度を正確に理解していないまま申請し、審査に通過できないケースがあります。
事態を避ける意味でも支援実績に優れたサポーターに助けてもらいながら申請作業を進めてください。
補助金を受けるには事業内容の報告が必要
ITの導入補助金を受ける場合、申請者は「事業実績報告」「事業実施効果報告」が必要です。
「事業実績報告」は補助金を使ったITツール導入を事務局に告げることです。
申請マイページから納品書や領収証などを添付しましょう。
こちらの報告では事務局による「確定審査」があります。
審査通過なら補助金の交付が受けられ指定口座へ振り込まれるしくみです。
決定から振込までのタイムラグは約1ヵ月が通例です。
それまでに振り込まれないようなら事務局に問い合わせましょう。
補助金希望者によるITツール導入後は事務局に6ヵ月以内に報告しなければなりません。
忘れないように注意しましょう。
また交付から3年間は「事業実施効果報告」も必要です。
ITツール導入の効果の検証を要するからです。
期間は3年、毎年度1回ずつで申請時の事業計画と違いすぎないかをチェックします。
「申請マイページ」から事業者が売上・従業員数・労働時間などの基本業務データを入れます。
これを支援者が確認し、事務局に報告する形です。
補助金制度を受けるには正確な事業の経過報告を要します。
IT導入補助金導入で気をつけること
IT導入補助金導入では2つ注意点があります。
交付前導入の経費が対象外であることと、固定資産投入部分の補助金が圧縮記帳の対象になることです。
補助金交付が決まる前にITシステムを導入するとお金によるサポートの理由になりません。
交付を見越して最新システムを入れても、無駄な経費が重なるだけです。
一方で、固定資産投入部分の扱いはメリットになりえます。
圧縮記帳対象の可能性があるからです。
圧縮記帳により、補助金のような臨時収入への税金は次年度以降に納税してもよくなります。
一時的な節税効果にもつながるでしょう。
圧縮記帳を使えば補助金にかかった税金は分散したり、後年度に払ったりしてもよいのです。
知っていると知らないとでは違うのでぜひ覚えておきましょう。
3.補助金のよくある疑問
IT導入補助金を受ける前に、疑問がある人も多いでしょう。
具体例としてホームページ制作のケースや申請スケジュールが挙がります。
それぞれに対する答えをまとめました。
ホームページ制作だけでは補助金対象外ですか?
ホームページ作成だけではIT導入補助金を受けられません。
2020年度からホームページ単体は補助金対象としてのITツールから除外されたからです。
IT技術の一般的なイメージにWordPressのようなCMSを使ったサイト・ブログ製作、経費管理が楽になるソフトウェアの導入が挙がります。
しかしただデジタル要素を取り入れただけでは補助金対象外です。
ITシステムは会社に取り入れるだけでなく「ビジネスに変革をもたらす効果」を求められます。
従業員の生産効率が上がったり、販促システムの変化で売上が改善したりなどのメリットが見込めなければ、資金のサポートは受けられないでしょう。
2021年度以降はITを使うだけでなくそれが業務や売上の向上を望めなければなりません。
しかしネットショップの制作費は売上や業務に深くかかわるので補助金対象に入ることがあります。
WordPressや無料ブログエンジンなどを使って自分のサイトを作るだけでは、補助金を受けられるとは限りません。
最新の補助金の申請スケジュールを教えてください
2021年度のIT導入補助金の日程は、第一次は4月7日(水)ごろから交付申請の受付がスタートです。
一次締切が5月14日(金)17時予定なので、希望者は早めの準備と手続きを済ませましょう。
第二次以降の日程は今後発表予定となります(2021.4.20現在)
2021年度の特徴として、通常枠に加えリモートワークのような「低感染リスク型ビジネス枠」での補助金申請があることです。
昨今の新型コロナウイルス感染拡大を受け対策につながるビジネスモデルを国が助ける動きが見られます。
2021年4月現在は「一次募集」になっていますが、2020年は11月までに「9次募集」まで行われていました。
一度締切に間に合わなくても次の公募でチャンスをもらえるようです。
しかし応募の遅れは事業計画に影響するので狙った時期に必要な準備を済ませるのが理想でしょう。
IT導入だけでなくリモートワークの体制構築も考え、計画的に補助金の準備を進めてください。
4.まとめ
IT導入補助金は、これからデジタルシステムを使ってビジネスを行う人にとって役に立ちます。
ITツールの導入や維持費は大きな支出になりえるからです。
国からもらうお金に助けてもらえれば、スムーズに事業を進められるでしょう。
今回の補助金制度を受けるには支援事業者のサポートも必須です。
とくに起業したてだとIT導入や補助金の流れについて、よくわからない人も多いでしょう。
支援実績のある事業者のアドバイスを受けながらの丁寧な準備が重要です。
これからITを使い、お客さんや従業員のためになりたいなら、補助金制度を積極的に使ってみませんか。