日本では常時使用する従業員が20人以下の事業所に対して持続化補助金や持続化給付金を支給しています。
小規模持続化補助金は以前から存在していた補助金のひとつですが、新型コロナウイルス感染症の広がりに伴って、新たに低感染リスク型ビジネス枠の受付も始まりました。
以前から小規模持続化補助金に興味のある方の中には、通常の補助金と低感染リスク型ビジネス枠の違いや補助金の申し込みの方法について知りたいという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、小規模事業者持続化補助金の概要や個人事業主による申請方法について解説します。
一読すれば小規模事業者持続化補助金の利用方法を理解できますので、この記事を参考にしてください。
1.小規模事業者持続化補助金の概要
持続化補助金とは、事業者が事業の継続や発展のために補助金が支給される制度のことです。
販路開拓や業務効率化などに使用する経費のうち、一部を国が負担します。
小規模事業者とは
小規模事業者補助金では対象となる業種と規模を明確に定めているのです。
サービス業や商業の場合、従業員が5人以下の場合は小規模事業者として扱われます。
製造業・宿泊業・娯楽業などは従業員が20人以下と定められています。
サービス業の中でも、宿泊業と娯楽業については、サービス業とは別に区別されているので注意しましょう。
また役員・同居の親族従業員・休業中の社員などは従業員にカウントされません。
従業員が0人の場合でも、小規模事業者として扱われるので覚えておきましょう。
対象とならない事業者とは
規模の小さい事業を経営している場合でも、小規模事業者補助金の対象とはならないケースもあります。
主なケースとして、医師・歯科医師・助産師・協同組合などの組合・宗教法人・学校法人・医療法人・社会福祉法人・任意団体などです。
特定非営利活動法人については法人税上の収益事業を行っている、認定特定非営利活動法人ではない場合にのみ対象となるので注意しましょう。
2.小規模事業者持続化給付金との違い
小規模持続化補助金に似た制度として小規模事業者持続化給付金があります。
補助金や給付金はどちらももらえるお金として考えてしまいがちですが、3つの点で相違があるので注意しましょう。
ここでは主な3つの違いを紹介します。
補助金は後から受け取る制度
給付金とは厳しい経営状態にある事業者の事業継続をサポートするために取り決められた制度です。
再起の糧とする目的で給付金が支給されるので申請後に受け取れるのです。
一方で補助金は使途を限定しており、販路開拓や生産性のアップに対してサポートされます。
経費の一部を補助する制度なので支払った経費に対して助成されます。
補助金は予算の範囲が限定されている
補助金の場合は予算の範囲が決まっており、申し込みに対して審査があります。
また申し込みに回数などの制限を設けているので注意しましょう。
一方で給付金の場合は、すべての申し込みに対して受け付けています。
結果報告の義務がある
補助金の場合は補助金の支給を受けた後に事業に関する結果報告をしなければなりません。
具体的には補助金を受けることでどのような成果が上がったのかを詳しく報告します。
小規模補助金では申請採択完了報告までの資料を5年間の管理義務があるので注意しましょう。
一方で、給付金については結果報告の義務はありません。
表1 給付金と補助金の受け取りまでの手順
手順 | |
小規模事業者持続化給付金 | 申請 → 審査 → 給付金受け取り |
小規模事業者持続化補助金 | 申請 → 審査 → 補助事業期間中の結果報告 → 補助金受け取り |
3.小規模事業者持続化補助金の魅力
小規模事業者持続化補助金の魅力は採択率や支給額です。
条件に該当していれば事業を円滑に進めるための補助金を受け取れるでしょう。
ここではそれぞれの魅力を詳しく解説します。
採択率が高い
2020年では小規模事業者持続化補助金をはじめさまざまな補助金が発表されました。
補助金の制度は申し込みをしたすべての事業者ではなく、公募で採択された事業者だけが受け取れる仕組みです。
小規模事業者持続化補助金の一般型の場合、1次公募の採択率は90.9%、2次公募の採択率は65.1%です。
2020年の場合は一般型に加えてコロナ特別対応型もありましたが1次公募の採択率は81.6%、2次公募の採択率は81.3%、3次公募の採択率は33.9%でした。
コロナ特別対応型の3次公募を除き小規模事業者持続化補助金の採択率は60%を大きく超えており採択されやすい傾向となっています。
採択率が高いので、安心して補助金の申し込みができるでしょう。
補助金の上限額が高いに注意
小規模事業者持続化補助金の一般型の支給額は最大で50万円です。
日本商工会議所や全国商工会連合会のサポートを受けながら経営計画を作って申し込むことで補助金が受けられます。
小規模事業者持続化補助金の補助率は経費の3分の2までです。
たとえば40万円の経費がかかった場合には3分の2にあたる24万円が受けられます。
100万円の経費がかかった場合には60万円が補助率の上限ですが支給額が50万円と決まっているので50万円となっているのです。
コロナ特別対応型や低感染リスク型ビジネス枠により補助金の上限がアップ
小規模事業者持続化補助金には一般型の他に「コロナ特別対応型」や「低感染リスク型ビジネス枠」が設けられています。
コロナ特別対応型とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中でも前向きに投資を行っている事業者を対象とした補助金です。
補助率は一般型と同じですが、上限が100万円にまで広がっています(コロナ型は2021年は現在なし)。
また2021年では新たに低感染リスク型ビジネス枠を設けました。
補助金の条件はコロナ特別対応型と同じ100万円、補助率は4分の3になっています。
低感染リスク型ビジネス枠を利用すれば、事業の促進が期待できるでしょう。
4.小規模事業者持続化補助金の注意点
小規模事業者持続化補助金を利用する際には、いくつかの注意点があります。
主な注意点は以下の3つです。
利益が出た場合には返納しなければならないケースがある
補助対象期間中に利益が出た場合、50万円の範囲内で補助金の一部を返納しなければなりません。
ただし補助金の目的は新商品の開発や販路開拓なので利益を出すことは難しいでしょう。
また補助対象の期間が終了した後に利益が出た場合の返納の義務はありません。
他の事業が黒字でも対象となる事業が赤字の場合、返納義務の対象外です。
募集期間が設定されている
小規模事業者持続化補助金は募集期間が決まっています。
募集期間を過ぎた場合には申し込みできないので注意しましょう。
申し込みの時点で創業していなければ受付されない
小規模事業者持続化補助金の申請をする際には開業していなければなりません。
開業日は開業届に記載の日付に準じており補助金の申し込みの日付が開業日よりも後になっている場合には受付されないので注意しましょう。
5.小規模事業者持続化補助金の条件
小規模事業者持続化補助金の条件は申請の内容によって異なります。
一般型の場合は会社の規模に関する条件に加えて、販売開拓や生産性の向上を目的としているものであれば申し込みが可能です。
コロナ特別対応型の場合は会社の規模に関する条件に加えて、サプライチェーンの毀損への対応や非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備を目的としているものであれば申し込めます。
低感染リスク型ビジネス枠については、会社の規模に関する条件に加えて感染拡大防止と事業継続を両立させるために、対人接触機会の減少を目的としたものでなければなりません。
対象となる経費
小規模事業者持続化補助金の対象となる経費は、機械装置等費・開発費・専門家謝金・外注費・広報費・資料購入費・専門家旅費・展示会等出展費・雑役務費・設備処分費・旅費・借料・委託費・外注費などです。
一方でパソコン、タブレット端末、自動車などの経費については補助金の対象として認められていないので注意しましょう。
6.小規模事業者持続化補助金の申し込みに必要な書類
小規模事業者持続化補助金の申し込みに必要な書類として以下のものがあります。
- 小規模事業者持続化補助金事業にかかわる申請書
- 直近決算書の一部(貸借対照表・損益計算書)
- 支援機関確認書
- CD-RやUSBなどの電子媒体
上記のうち、支援期間確認書は任意となっています。
発行には一定の日数がかかるので早めの段階で商工会議所に申し込みましょう。
個人事業主が申し込む場合には上記の書類に加えて直近の確定申告書や所得税青色申告書が必要です。
収支内訳書がない場合には法人同様、賃借対照表や損益計算書を提出します。
7.小規模事業者持続化補助金の申し込み方法
小規模事業者持続化補助金の申し込みは郵送と電子申請の方法があります。
郵送の場合には作成した書類とデータを保管したCD-RやUSBを商工会議所の事務局に送りましょう。
商工会の場合は商工会担当者の方が郵送することがあります。
電信申請の場合には小規模事業者持続化補助金の公式サイトから申し込みをします。
申込みの手続きを済ませると審査が行われます。
一般的には申し込みから2~3ヵ月で採択者が発表され、採択者に選ばれた場合には1週間程度で交付決定通知を受け取れるでしょう
補助事業が終了した際には締め切りまでに実績報告などの書類を提出します。
注意:交付決定通知書を受け取ってから補助事業開始する(理由:申請・採択後から開始した場合適用されません)。
8.まとめ
小規模事業者持続化補助金とは、事業者が事業の継続や発展のために補助金が支給される制度のことです。
一般型をはじめ、コロナ特別対応型や低感染リスク型ビジネス枠などがあり経費の3分の2や4分の3が支給されます。
申し込みの際には小規模事業者持続化補助金事業にかかわる申請書、直近決算書の一部(貸借対照表・損益計算書)、CD-RやUSBなどの電子媒体などが必要になるので早めにそろえておきましょう。
個人事業主向けの具体的な補助金費用や締切日の詳細につきましては小規模事業者持続化補助金の公式サイトをご確認お願いいたします。